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日本のコールセンター就業者数は何人?

更新日:2022年8月5日



国勢調査で就業者数はわかる?

コールセンターで働く人といいますと、コールセンターのオペレーターのイメージが大きいと思います。広い意味では、サービス業・接客業務の中に入りますが、実際に2010年の国勢調査までは、コールセンター勤務という分類はなくて「その他サービス業」に分類されるしかありませんでした。


2010年(平成22年)の国勢調査から、一般事務従事者のなかに「電話応接事務員」という分類ができました。「電話応接事務員」というのは、電話の呼び出し・交換・取次の仕事や電話による苦情、照会への対応、アポイントの取り付けなどの仕事に従事するものを指し、具体的には電話交換手、コールセンターオペレーター、テレフォンアポインター、調査員(電話によるもの)、通信販売受付事務員(電話によるもの)などが想定されているということです。


なんだか、電話交換手、とかテレフォンアポインターとか業界でももう使われていないような名称だったり、通信販売受付事務員という難しい言い方だったり(要は通販コールセンターのオペレーターということですね)しますが、おおむねコールセンターオペレーターを想定していると思えます。で、実際に2015年(平成27年)の国勢調査では、「電話応接事務員」は、約26万人という結果が出ています。

この数字、皆さんの印象では多いですか?少ないですか?私の印象では、実際よりもかなり少ないと感じています。


国勢調査についてもう少し考察してみます。私はオペレーターだという認識はないけれど、電話やチャットやWEBサービスなど非対面のチャネルでの顧客対応をしている人はどのように調査に回答するのでしょうか? また、職業分類に「営業・販売事務従事者」というのがあり、「営業職業従事者」というのもあります。コールセンター勤務というのが何となくかっこ悪いと思っている人がいるかもしれませんし、営業のほうでつけておこうかという人もいるかもしれません。

またITサポートデスク/ヘルプデスクでは、コールセンター形式で運用されていますが、かなり高度なテクニカル対応の担当者は「電話応接事務員」ではなくて、「技術者」の分類で回答すると思います。


さらに、事業会社におけるコールセンター部門の事業部長や管理職、またはBPO企業等の外注管理や教育に関わる人はどの分類になるでしょうか。コールセンターアウトソーサー/BPO事業者の管理部門、営業担当者、またコールセンターに関わるITシステム部門やITベンダーの関係者はどうでしょうか。さらには私のようなコールセンターに特化したコンサルタントなど、顧客の接遇業務は担当しないものの、コールセンターを支える職業の人は26万人よりはるかに多くいるはずです。


海外のコールセンター就業者

では、海外の状況はどうなのでしょうか。他国の産業統計を見てみます。英国でコールセンター関係の業務に関わっている人は約80万人、米国では約220万人です。米国ではこの25年くらいの間に約100万人減少しています。これは、オフショア(海外へのアウトソーシング)によるものが大きいです。


オフショアというのは、1990年代半ば、いまから四半世紀ほど前がコールセンター産業の勃興期にあたり、飛行機チケットに関する窓口やシステムサポート窓口の規模が非常に大きくなったことから、人件費の安い英語圏の国に電話を転送し、そこでコールセンターを運営しようとしたものです。この流れでコールセンターのアウトソーサー/BPO事業者も成長し、国際的な企業になりました。


かつては、英語圏のオフショア先ではインドが多かったのですが、自国の経済発展でコスト的なメリットが少なくなり、今ではフィリピンが最も多くなっています。英語の発音のきれいさや南国ならではのホスピタリティもあり、マニラ地域やセブ島などで大規模なコールセンターが運営されています。 BPO産業は今やフィリピンの最大の外貨獲得産業になっています。


日本のコールセンター就業者

国勢調査の状況を考察し、海外の状況(人口動態やGDPなど)を分析し、BPO事業者の規模などを総合的に振り返ってみます。

私は、日本でも100万人以上がコールセンター関連の業務に従事しているとみています。看護師が120万人、介護関係が100万人ほどなのでそれらと肩を並べるほどの一大産業です。一方、小中高の教師は50万人、警察消防従事者は60万人ほどです。 テレビでは、刑事ドラマをやっていない日はないですし、医療系ドラマも大人気です。しかし、コールセンターを舞台にしたドラマは、2009年に放送された小泉孝太郎さんが主演の「コールセンターの恋人」というものしか記憶にありません。しかも、小泉さんが、本社の商品企画部から“左遷”されて千葉の田舎のコールセンターに配属されるという設定のドラマでした。クレーマーとのやり取りなど、まじめに面白く作られたドラマではありましたが、コールセンターの業界をちゃんと描いたドラマはなかなか出てきません。就業者数を想定しますと、もっとドラマ化されてもよいような気がします。


とはいえ、企業のCMのなかにも、ヘッドセットをしたオペレーターが登場してカスタマーサービスの充実度をアピールするケースが多くなってきていて、多くの人が働き、職業や職場としての認知度も向上しつつあります。コールセンター業界で働く一人一人が、コールセンターで働くことにプライドを感じ、やりがいのある仕事であると言えるように、業界の発展に私自身も務めていきたいと思います。


  まとめ  

  • コールセンター就業者については、長い間公式の産業統計がなかった。

  • 最近の国勢調査で「電話応接事務員」が加わったが、コールセンター業界で働く様々な役割を網羅した分類とはいえない。

  • 日本で100万人以上が関わるコールセンター業界の重要性をより広く理解してほしい

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